遠寿院

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日久上人物語

 日久上人の行力堅固、修法練達については、次のような話が「狼の牙」とともに代々当院に伝えられている。日久上人の師は、当院開基の日祥上人から相伝を受けた日遼上人である。


日久上人が使用した木剱と念珠。手前は教化した狼の牙と毛


 日久上人が、同じ下総国の中村檀林で学問修行中のある夜、恩師の重態を告げる手紙が届く。日久上人は、 ただちに学頭の許可を得、その夜のうちに中山に向けて出立した。途中の根児奈ヶ原(ねごながはら)は、 狼が出て人を食うという噂の高い場所である。日久上人が野原の中央まできたとき、果たせるかな数匹の狼が出現した。

 『今はこれまで』と観念した日久上人は、傍らの石に腰を下ろし普門品の偈を読誦した後、無念夢想となり、 狼に『恩ある師に御恩を報じた後、必ず帰ってくるからそれまで待て』と話しかける。狼は去り、日久上人は、無事師の下に着くことができた。それから十数日にわたる、一心不乱に水垢離をとっての祈りの後に『日祥の下に行け』という声を聞く。 声に従って訪ねた日祥上人からは、宗祖直授の秘符を授けられ、それを恩師の病体に摩し一心専念に読誦祈願すると、不思議にも師の病はすっかり平癒した。

日久上人は、恩師に暇を告げ、再び約束の根児奈ヶ原を目指す。以前の場所に至り、狼を待って法華経の読誦を始めた。夜も深まり、ようやく現れた狼は日久上人に迫り、その手にかみつく。しかし痛みはなく、見ればそこには狼の牙が残されていた。


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